「大会のサポートには慣れているけれど、公演やイベントになると勝手が違って戸惑う」「本番前後の体調管理を誰に相談すればいいのか分からない」――舞台に立つ人と、それを支える立場の方から、こうした声をよくいただきます。
Cheer-Ath-Up代表のサンチェスです。柔道整復師として整形外科に勤務しながら、チアリーディング・チアダンスを中心に、ダンサーやアーティストのサポートを行っています。このページでは、Cheer-Ath-Upが「舞台医学」という考え方をどう現場で使っているかをご紹介します。
「舞台医学」とは何か
スポーツ選手を医学の側面から支える学問を、スポーツ医学と呼びます。それと同じように、クラシックバレエのダンサー、演奏者、舞台役者といった舞台に立つ人を支える学問が、舞台医学(アートメディシン)です。
スポーツにおける「試合」にあたるものが、舞台に立つ人にとっては「本番」です。ここが決定的に違います。試合には勝敗があり、相手がいます。舞台には観客がいて、その心を動かすことがゴールになります。やり直しは効きません。
そして、ダンサーやアーティストは「アスリートのような肉体を持ち、芸術家としての精神を持つ」存在だと言われます。体を酷使して作り込み、同時に本番に向けて心も作り上げていく。この両面を持っているからこそ、体のことだけを見ていても支えきれない部分が出てきます。
チアリーダーも「舞台に立つ人」です
チアリーディング・チアダンスは、その成り立ちから、大会以外の活躍の場が非常に多い競技です。オープンキャンパスや新歓演技、他の部活動の応援、マラソンやお祭りでのイベント出演、単独公演や他団体とのコラボパフォーマンス。競技チアリーディングとパフォーマーとしての活動を両立しているチームは少なくありません。
つまりチアリーダーは、スポーツ選手であると同時にアーティストでもあります。だからCheer-Ath-Upでは、チアの現場にも舞台医学の視点を持ち込んでいます。
大会と本番では、必要な準備が変わる
ここが見落とされやすいところです。大会演技は約1分半〜2分半で、その一瞬のために日々の練習を積み重ねます。一方、イベントや公演になると事情が変わります。
大会用の楽曲は短く編集されていますが(約2分30秒)、イベントでは楽曲をフルで使うため4分前後になり、振り付けもそれに合わせて作られます。文化祭のようなステージでは10〜30分の持ち時間があり、最も長い単独公演では、1部1時間の二部制で観客の前に立つこともあります。大会と同じ強度で臨むのは、かなり負荷の高いことです。
さらに、イベント出演では出番まで楽屋や観客席で待機します。待ち時間と演技時間の比率が、大会とはまったく変わるのです。一度温まった体が冷え、また出番が来る。この繰り返しの中で調子を保つことは、想像以上に難しい作業です。
「体を仕上げる」だけでなく、「当日のタイムテーブルの中でどう体を保つか」を一緒に設計する。これが、本番に帯同する立場でできることだと考えています。
Cheer-Ath-Upの取り組み
芸術家のくすり箱NEOでの学び
チアリーディングを専門的に学ぼうとしたとき、まず情報の少なさに苦しみました。同じ「見た目の美しさが評価される競技」というくくりで見たとき、蓄積の量で圧倒的なのがクラシックバレエです。ダンサーを診る経験を積むことが、そのままチアの現場に活きると考え、バレエを中心にダンサーの健康を守る団体を探しました。
そうして出会ったのが、長い歴史を持つ「芸術家のくすり箱」から現在の「芸術家のくすり箱NEO」として活動している団体です。ここに登録トレーナーとして所属し、半年間・毎月開催されたダンサーの治療に必要な知識と経験を身につけるセミナーを修了しました。この団体は、ダンサーの治療に必要なデータの収集や、「ヘルスケアピット」と呼ばれる検診サービスの提供を行っており、審美系競技に関わる専門家にとって頼れる存在です。
公演・イベントへの帯同
これまで3チーム・8公演の本番と前日リハーサルに帯同してきました。大会帯同とは異なり、会場の床の状態、楽屋から舞台までの動線、出番までの待ち時間、本番中の照明や衣装の制約まで含めて、その日のコンディションに関わる要素を事前に確認していきます。
普段のコンディショニングから、本番まで
本番の当日だけを見ても、できることは限られます。日常のコンディショニング、怪我明けの復帰の進め方、そして本番当日の体調管理。この流れをひと続きで見られることが、伴走する立場の強みだと考えています。
目指しているもの
舞台に立つ人への理解がある医療現場は、決して多くありません。一般的な生活では問題にならない程度の可動域の制限も、舞台の上でははっきり見えてしまう。それを伝えても分かってもらえなかった経験を重ねると、人は説明することをやめてしまいます。
実際、怪我をして受診するときに、詳しい事情を話すのを諦めてしまう選手を何人も見てきました。理解されないと感じているからです。
けれど、必要なのは深い専門知識である前に、「次の本番はいつですか」「当日の出番と待ち時間はどのくらいですか」と尋ねようとする一言です。この一言があるだけで、舞台に立つ人は自分の表現を理解しようとしてくれていると感じ、本当に困っていることを話してくれるようになります。
一生懸命に活動する人が、医療の面でも十二分にケアを受けられる。その環境を整えることが、Cheer-Ath-Upの基本的な行動指針です。
関連する記事
このテーマに関連する記事はこちらです。
今日からできること
次の本番が決まっている方は、その日程と当日のタイムテーブル(出番の時刻と、それまでの待ち時間)を、ケアを受けている専門家に一度伝えてみてください。体の状態だけを伝えるより、準備の中身がはっきり変わります。
公演やイベントへの帯同、チーム単位でのサポートについてのご相談も承っています。まずはお気軽にご連絡ください。
お悩みはお気軽にご相談ください
本番に向けたコンディショニングから、公演・イベントへの帯同のご依頼まで、Instagramやオープンチャットからいつでもお気軽にお問い合わせください。
