クラシックバレエのケア|ほか審美系スポーツ

クラシックバレエのケア

Cheer-Ath-Up代表のサンチェスです。柔道整復師として整形外科に勤務しながら、ダンサー・アーティストの健康を守る団体「芸術家のくすり箱NEO」に登録トレーナーとして所属し、審美系競技の現場に関わっています。

「痛みはもう無いと言われたのに、以前のようには踊れない」――そんなもどかしさを抱えたまま、レッスンに戻っていませんか。ダンサーを診ている専門家の側にも、「どこまで戻せば合格なのか分からない」という迷いがあるかもしれません。

「治った」の基準が、ダンサーだけ違う

日常生活に支障がないところまで動くようになった。一般的なリハビリでは、ここがゴールです。けれどクラシックバレエでは、その動きが「美しく見えるか」までが評価の対象になります。つまり、一般の方と同じ可動域で終わってしまうと、ダンサーにとってはまだ復帰の途中なのです。

甲が高く出るつま先、まっすぐ伸びきる膝、股関節から開くターンアウト。これらはダンサーにとって技術であると同時に、自分の価値そのものでもあります。怪我によってそれが失われたとき、本人が感じているのは「不便」ではなく、もっと重い喪失感です。

日常生活なら見逃してよいわずかな制限も、舞台の上では「ノイズ」としてはっきり見えてしまう。そのノイズを一つずつ取り除くところまで付き合うのが、ダンサーに関わる専門家の役割だと考えています。

3つの動作に分解して考える

バレエの専門用語に詳しくなくても、代表的な動作を3つに分けて考えれば、復帰の段階は十分に組み立てられます。

プリエ:膝を曲げて深くしゃがみ込む動作。ジャンプの踏み切りと着地の土台になります。
ポワント:つま先で立つ動作(爪先立ち)。つま先は「柔らかければ自然に伸びる」ものではなく、専用の練習を重ねて作り上げるものです。
ターンアウト:股関節から脚全体を外側にひねって開く動作。膝や足首でごまかさず、股関節から開けているかが評価の分かれ目になります。

この3つを別々に確認していくと、意外な偏りが見えてきます。たとえば、あれだけ柔らかいはずのダンサーが、しゃがみ込む動き(足首を反らせる背屈)だけは硬い、というケースは珍しくありません。つま先を伸ばす方向を突き詰めるほど、その反対方向が置き去りになるからです。よく使う方向の裏側が、静かに硬くなっていく、と考えると分かりやすいと思います。

専門家とダンサーの間にある、お互いの遠慮

バレエに馴染みのない専門家ほど、正解の分からない要求に戸惑い、ダンサーとの間に距離を感じてしまいます。
一方でダンサーの側も、「説明したところで、この動きの意味は伝わらないだろう」と感じて、次の本番がいつなのか、今どの段階のレッスンにいるのかを、自分からは話しません。

この距離を埋めるのに必要なのは、実は深い専門知識ではありません。「次の舞台はいつですか」「今はバーレッスンとセンターレッスンどこまでやれていますか?」「トウシューズはもう履いていますか」――この一言があるだけで、ダンサーは自分の芸術を理解しようとしてくれていると感じ、本当の悩みを話してくれるようになります。

一生懸命に踊る人が、医療の面でも十二分にケアを受けられる。その環境を作ることが、Cheer-Ath-Upの基本的な行動指針です。

より詳しく知りたい方へ

このテーマに関連する記事はこちらです。

今日からできること

ダンサーご本人なら、鏡か動画で「痛みがないか」ではなく「以前と同じ形で止まれているか」を一度だけ確認してみてください。専門家の方なら、次にダンサーを診るときに「次の舞台はいつですか」と一言だけ聞いてみてください。違和感に気づいたその日が、相談を始めるのに一番良いタイミングです。

お悩みはお気軽にご相談ください

舞台に向けたコンディショニングから、怪我明けの復帰の進め方まで、Instagramやオープンチャットからいつでもお気軽にお問い合わせください。

← ほか審美系スポーツのトップに戻る