チアに多いケガ・痛み|チアリーディング

チアに多い怪我

「うちの子(自分)は、どんなケガをしやすいのか事前に知っておきたい」「痛いけれど、これは休むべきなのか分からない」――チアリーディングの現場で、多くいただく相談がこの2つです。

Cheer-Ath-Up代表のサンチェスです。柔道整復師として整形外科に勤務しながら、チアリーディングチームに帯同し、現場でのメディカルケアを担当しています。このページでは、チアで特に多いケガを部位別に整理しました。どんなケガが起こりやすいかを知っておくことが、そのまま早めの対処と予防につながります。

チアのケガが、他の競技と違う3つの理由

1. 衝撃が桁違いに強い
トップの選手が体育館の天井近くまで飛び上がり、時にはそこから落下します。タンブリングでは、宙返りやひねりの勢いのまま足首がマットに突き刺さります。この強さの衝撃に対しては、軽いテーピングや考えなしの応急処置では意味をなしません。

2. 手で体重を支える競技である
逆立ちやロンダートでは自分の体重を、スタンツでは人ひとりの体重を、手のひらで受け止めます。下半身のケガが中心の競技とは、傷みやすい場所そのものが違います。

3. 「10分後に出番」がある
オープンキャンパスでの演技、他チームの応援、単独公演やコラボ出演など、台本のあるイベントに出る機会が多い競技です。ついさっきケガをしたけれど10分後には出番、ということが珍しくありません。限られた時間で最低限の評価と処置を行い、やり切れる状態にする判断が求められます。衣装やユニフォームの構造によって、テーピングを貼れる位置に制約が出ることもあります。

部位別・チアに多いケガ

足関節(足首)

タンブリング練習やスタンツ中に最も多く起こる部位です。一般的な足首の捻挫(外側の靭帯の損傷)だけで済まないケースが多く、内側の靭帯や、すねの骨同士をつなぐ靭帯を同時に痛めることもあります。

このほか、後脛骨筋腱炎(足の内側を支える腱の炎症)、有痛性外脛骨障害(すねの内側の骨の突起が痛む状態)、シンスプリント、足底腱膜炎、扁平足・回内足(足のアーチが崩れた状態)なども見られます。軽い固定だけでは痛みが引かないことが多いのがこの競技の特徴です。

手首・指

手首の捻挫や骨折、TFCC損傷(手首の小指側にある軟骨のクッションの損傷)は、この競技では避けにくいケガのひとつです。突き指や、指を強く持っていかれる捻挫もよく見られます。

スタンツでは、相手の体重を足の裏を介して手で受け止めるため、バランスの乱れがそのまま手首に伝わります。技が失敗したとき、トップの選手を安全に降ろすためにベースが最後まで支え続け、腕に強い衝撃を受けることもあります。

肘・前腕

手のひらで相手の体重を支える技や、前腕でキャッチして人を飛ばすバスケットトスがあるため、テニス肘・ゴルフ肘のような使いすぎのケガより、前腕の骨(尺骨)の骨膜に炎症が起きるケースが多く見られます。すねの疲労骨折と同じで、筋肉をゆるめることと、負荷そのものを減らす工夫の両方が必要です。

膝

前十字靭帯断裂、内外側靭帯損傷、半月板損傷が起こります。タンブリングの着地でひねりが加わって受傷することが多く、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)にも注意が必要です。

特に、ジャンプ後の着地で前方へ送り出されるように着地するミドルベースは、膝への負荷が大きいポジションです。回転を伴う技では、着地で膝が横に倒れる動きも見られます。

肩

トス技で不十分な形でキャッチされたとき、落下する選手を無理に支えようとしたときなど、肩関節脱臼を含む大きなケガが起こります。タンブリングやジャンプ技での連続的な腕の振り上げが、肩関節の前側の炎症(使いすぎによる障害)につながることもあります。肩甲骨と背骨の連動を高めておくことが、素早い腕の振りへの備えになります。

腰・背中

腰と背中の痛みは、柔軟性ではなく「姿勢の崩れ」から生まれることがほとんどです。チアでは、猫背になってしまうパターンと、反りすぎてしまうパターンの両方が問題になります。猫背のままのスタンツやキャッチは腰や背中に負担を集中させ、腰を真っ直ぐ支えるための筋肉がダメージを受けていきます。

背骨は、いくつもの骨が連なって少しずつ動く構造をしています。ウォークオーバーのように反る技で、胸の背骨や股関節が動かないぶんを腰の一点が肩代わりし続けると、そこに疲労が蓄積していくことがあります。反ったときの腰の痛みが2週間以上続く場合は、成長期の腰の疲労骨折(腰椎分離症)の可能性もあるため、自己判断で様子を見ず、一度整形外科を受診してください。早い段階で見つかるほど、回復の見通しが良くなります。

ハムストリングス(もも裏)の肉離れ

トータッチなど瞬発的な動きが多いため、もも裏の肉離れもよく起こります。疲労がたまって柔軟性が落ちてきた頃合いに受傷しやすく、繰り返してしまう選手も少なくありません。

脳震盪

スタンツ練習で落下して頭を打つ、間接的な衝撃で症状が出る、落下してきた選手の肘や足が当たるなど、どのポジションの選手にとっても油断できないケガです。特にトスキャッチを担当するミドルベースは、技の失敗時に強い衝撃を受けることがあります。

頭を打った、強い衝撃を受けた、そのあと頭痛・吐き気・ぼんやりする感じがある――このいずれかがあれば、その日は練習に戻さず、必ず医療機関を受診してください。本人が「大丈夫」と言っても、判断は周囲が行うべき場面です。

「もう少し様子を見る」で、取り返しがつかなくなる前に

痛みそのものより怖いのは、可動域の制限を抱えたまま練習を続けることです。曲がりきらない膝、上がりきらない肩のまま技を繰り返せば、体は必ずどこかでかばいます。そのかばった先が、次のケガの場所になります。

そしてもう一つ、現場で強く感じていることがあります。ケガをして受診するとき、多くの選手が「バク転で怪我しました」の一言で済ませてしまうのです。理解されないと感じた経験が積み重なると、人は説明することをやめてしまいます。

けれど、伝えるべきことは難しい話ではありません。「ショルダースタンドの後だけ首が重い」「人を乗せているときに肩がだるくなる」「着地したときだけ内側がズキッとする」――このくらいシンプルな一言があれば、専門家は十分に状況を理解して力になれます。一生懸命に活動する選手が、医療の面でも十二分にケアを受けられる。その環境を作ることが、Cheer-Ath-Upの基本的な行動指針です。

より詳しく知りたい方へ

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サポーターやテーピングの道具の選び方は、姉妹サイトのヘルスケアセレクト『サポーター・テーピング完全ガイド』でまとめています。足首のサポーターについては、『足首サポーターの正しい使い方』も参考にしてください。

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今日からできること

自分がよく担当するポジションや技を思い浮かべ、この一覧の中から「自分に特に関係がありそうな部位」を1つだけ選んでみてください。そして、その部位のセルフケアを練習前後に1つ足す。それだけで、予防の実感は変わります。

今まさに痛みがある方は、「どこが痛いか」ではなく「どの瞬間に痛いか」を一つ言葉にして、相談してみてください。

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