「毎日練習しているのに、シーズン終盤になると体がついてこない」「トスが上がらない、キャッチに耐えられない」「タンブリングが、あるところから先に進まない」――そんな壁にぶつかっていませんか。
Cheer-Ath-Up代表のサンチェスです。柔道整復師として整形外科に勤務しながら、チアリーディングチームに帯同し、自分自身も選手として大会に出場しています。このページでは、競技力を上げるための身体づくりを、土台から順番に整理します。
「チアの練習だけ」では強くならない理由
チアの練習だけをしていても、それなりに強くなる選手はいます。ただし、強い衝撃が繰り返し加わる過酷な競技であることも事実です。一歩間違えると、練習を続けているうちに体が疲弊して弱っていくことすらあります。
キャッチの瞬間、トスアップ、大きくひねる瞬間。慣れてくると省エネで動けるようになり、体もぶれにくくなってきます。ではその状態で身についた筋力は、そのまま維持できるでしょうか。もっと難易度の高い技に挑戦するとき、合宿や大会前で練習量が増えたとき、「耐えられる体」になっているでしょうか。
ベースが耐えられないから高いトスアップができない。トップの体が弱いから難しい技ができない。そうならないための備えが、競技外のトレーニングです。繰り返しのキャッチで腰や背中にかかる負荷にさらされ続ける体幹の筋肉は、常に疲労してくたびれた状態になりがちで、ストレッチやマッサージだけのケアでは足りません。
すべての土台は「背骨のS字を保つ力」
腰を支える筋肉に「多裂筋」というものがあります。腰骨のすぐ近くについていて、良い姿勢を保つのを助けてくれる筋肉です。ただしこの筋肉は、猫背や反り腰の姿勢ではうまく働いてくれません。
多裂筋が働きやすいのは、背骨のS字カーブを保ったまま、股関節を少し曲げてスクワットのような構えを取った姿勢です。この姿勢で、①背骨のカーブを保つ ②お腹に力を入れる ③お尻や脚の筋肉で踏ん張る――この3つが揃って初めて、強い衝撃に耐えられる体になります。
技を増やす前に、ここを作る。遠回りに見えて、これが一番確実な順路です。
タンブリングを伸ばす
大学からチアリーディングを始める選手は多く、それまでサッカーやバスケットボール、テニスといった別の競技をしていた方も少なくありません。もともとの身体能力の高さで、ある程度のところまで乗り越えてしまう選手もよく見かけます。ただ、その先へ進むには、基礎となる動きの質を丁寧に積み上げる必要があります。
タンブリングは、大きく「立ち技」「走り技」「ひねり技」の3つに分けて考えられます。それぞれ求められる感覚は違いますが、共通して重要なのが回転の加速技術と転がる運動の質です。
その基礎練習として役立つのが「ゆりかご」や「マルタ」(前転・後転のように転がる動き)です。これらは体操のゆか種目で、基本技の練習方法として広く使われています。ここでいう基本技とは、技の系統の中で最も簡単で、かつその系統に必要な能力を身につけるのに役立つ技のことです。
派手な技の反復より、この地味な動きの質のほうが、結果的に到達点を引き上げてくれます。
ジャンプ・ヒールストレッチは「高さ」より先に「軸」
「足を高く上げているつもりなのに、写真で見ると膝が曲がっていた」――ヒールストレッチやアラベスクで、膝が曲がっている、猫背になっている、というフォームはよく見かけます。
ここはバレエの考え方が役に立ちます。バレエで言われるポイントは2つ。軸足が曲がらないようにすること、そして左右の肩と骨盤が作る四角形(スクエア)が乱れないようにすることです。
伸ばしている足につられて体幹が動いてしまわないこと。軸足・体幹・伸ばしている足の3つが、引っ張り合うようにして釣り合っていること。足だけを頑張って高く上げようとするのではなく、この3点の釣り合いを意識することが、綺麗なフォームへの近道になります。
何から始めるか|自宅でできる基礎メニュー
必要な道具は、ちょっとした重り(ダンベルかケトルベル)とバランスディスクだけです。特別な器具がなくても始められます。
- ダウンドッグ・トータッチ:肩を大きく上げた姿勢での安定感を養う
- バンザイ背筋(仰向け):腕を上げた姿勢のまま背筋を使う
- ゆりかご・スパ(寝返り):体幹を一つの塊として使う感覚を養う
- スタガースタンスRDL:背骨を支える腰・お尻の筋肉と、足首の使い方を同時に鍛える
- トリプルスレッド:股関節まわりを段階的に鍛える
- ステップアラベ:バランスと股関節の使い方を養う
- バランスディスクキープ:足首や体幹の細かい重心コントロールを鍛える
全部やる必要はありません。今の自分に一番足りないと感じるものを1つ選ぶところからで十分です。
伸ばす時期と、回復させる時期
トレーニングと同じくらい大事なのが、疲労の扱い方です。ここは2種類に分けて考えると整理しやすくなります。
練習中に起こる疲労:練習の後半になるにつれてパフォーマンスが落ちていく状態です。技の精度が落ちる、着地が不安定になる、といった形で表れます。この状態のまま高難度の技に挑戦すると、ケガのリスクが上がります。
練習後に持ち越される疲労:その日の練習後も残り、翌日以降のコンディションに影響します。練習と練習の間でこれをどれだけ戻せるかが、ケガなく積み重ねられるかを左右します。
この2つは原因も対処法も違います。「疲れた」を一括りにせず、今感じているのがどちらなのかを意識するところが、リカバリーの第一歩です。
上達の相談も、遠慮なく言葉にしてください
ケガの相談と同じで、上達の悩みも「説明してもこの競技のことは分かってもらえないだろう」と考えて、飲み込まれてしまいがちです。
けれど、伝えるべきことは難しくありません。「バク転までは行けるけれど、その先が怖い」「トスの高さが去年より出ていない」「ヒールストレッチで膝が伸びきらない」――このくらいで、専門家は十分に力になれます。
指導者や専門家の方は、「今どの技に挑戦しているところ?」という一言を投げかけてみてください。競技の現在地を知ろうとする姿勢が伝わるだけで、選手は自分の課題を具体的に話し始めてくれます。一生懸命に活動する選手が、医療の面でも十二分にケアを受けられる。その環境を作ることが、Cheer-Ath-Upの基本的な行動指針です。
より詳しく知りたい方へ
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今日からできること
今日の練習の中で、いつ「疲れてきたな」と感じたかを1つだけ思い出してみてください。練習の後半に集中していたのか、それとも練習前からすでに残っていたのか。ここが分かるだけで、次に手を打つべき場所が変わります。
そして基礎メニューの中から1種目だけ選んで、今日の練習後に足してみてください。1種目を続けるほうが、7種目を1回やるより確実に効きます。
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