現場での介入・コンディショニング|医療従事者向け

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「診療報酬の待ち時間になんとなく干渉波を流しているけれど、本当にこの使い方で合っているのだろうか」「職場に機器はあるが、どう使えばいいか分からないまま隅に追いやられている」――そう感じたことはありませんか。

Cheer-Ath-Up代表のサンチェスです。柔道整復師として、完全手技による運動器リハビリテーションを経験した後、現在は物理療法機器をフル活用できるクリニックに勤めています。あわせて、3種類の電気刺激を使い分けられる携帯型の物理療法機器(伊藤超短波・エスパージ)を用いて、自費のコンディショニングの分野でも活動しています。

このページでは、現場での介入――物理療法、応急処置、テーピング、そして自費治療という働き方までを整理します。

物療が「よく分からないもの」になっていないか

物療に消極的な方の多くは、「何をしたらいいか」という自信のなさが背景にあるように感じます。「助手さんに任せているから」「今まで特にやっていなかったから」と、そこにある機器を活用しきれていない光景をよく見かけます。

私の中での物理療法機器のイメージは、「機器を用いれば、その機器がやりたい目的はしっかり達成できている」というものです。干渉波なら筋緊張の緩和・血流促進を出すのが得意で、「干渉波の後は浮腫や緊張が取れているはず」と考えてよいと思っています。

では、なぜ「変わらない」「楽になるけどまたすぐつらい」が起きるのか。多くの場合それは機器の限界ではなく、治療の捉え方、事前説明と患者教育、機器の選択によって生まれている問題です。

もう一つ、構造的な事情もあります。物療の効果は比較的長い時間(20分以上)通電することで証明されているものが多いのですが、クリニックや整骨院では時間・場所の制約があり、そこまで実施できません。この制約を自覚しておくことは、後述する自費治療の話にもつながります。

電気治療は2つの軸で整理する

機器の種類は多いですが、2軸で見ると一気に頭に入ります。「なぜその機器を選ぶのか」を説明できるようになることがゴールです。

横軸:周波数(Hz)=どこまで届かせるか

低周波は表面〜浅層の神経・筋肉に直接働きかけ、中周波は皮膚の抵抗をすり抜けて深部の関節包やインナーマッスルを揺らし、高周波は一瞬で皮下の深いところまで貫通します。周波数は「電気をどこまで届かせたいか」を決めるダイヤルだとイメージしてください。

高周波(10,000Hz〜):ラジオ波、超短波など。電気刺激というより、生体組織の分子を振動させて熱を作るのが特徴です。深部の血流改善やコラーゲンの伸張性向上を狙います。ハイボルテージや干渉波をここに分類してしまう誤解が意外と多いところです。

中周波(1,000〜10,000Hz):干渉波、立体動態波など。皮膚の抵抗をすり抜けて深部まで届けられるのが強みです。干渉波は中周波を体内で交差させ、深部に低周波のうねりを作り出します。

縦軸:電流値(強度)=体にどう作用させるか

mA(ミリアンペア)単位はTENS・EMS・HVが属する「感じる」強さ。神経を興奮させて「痛みを消す」「筋肉を動かす」働きをします。

μA(マイクロアンペア)単位はMCRが属する「感じない」強さ。細胞のミトコンドリアに働きかけ、「組織を治す・抗酸化する」方向の作用です。

電流値は「神経に働きかけたいのか、細胞そのものに働きかけたいのか」を決めるダイヤルです。この2軸で見れば、「深いところの筋緊張を取りたいから中周波」「患部を治したいから微弱電流」というように、選ぶ理由を自分で組み立てられるようになります。

物療は「検査」にも使える

見落とされがちな使い方です。ハイボルテージ療法では即時的な鎮痛効果を出せる、つまり侵害受容器の興奮を抑制できます。ということは、その効果が出るかどうかで、患部に問題があるのか、それとも器質的な問題があるのかを判別するという使い方ができます。

物療を活用したアプローチは、施術者・患者双方の負担を減らし、リハビリを円滑に進めるための手段にもなります。

急性外傷|RICEから、その後の管理まで

患部を高く上げる、圧迫して固定する、冷やす、安静にする。RICE処置は長年積み重ねられてきた確かな知見です。一方で近年は、外傷後の応急処置からその後の管理までを視野に入れた「PEACE&LOVE」という考え方が広まり、その中で過度なアイシングを控えることの重要性が言われるようになって久しくなっています。

冷やせば冷やすほど良いわけではありません。患部の回復過程を踏まえた適切なタイミングと量を見極めることが、これからの応急処置に求められます。

現場での情報収集についても一点。外傷が起きた瞬間に「大丈夫? 何が起きた?」と聞いても、専門用語のギャップからうまく話してもらえないことがあります。「今のスタンツ、どのポジションで何をしていたときに痛めた?」と具体的に聞けるだけで、選手は状況を話しやすくなり、判断材料も集まります。

テーピング|「ちょうどいい塩梅がない」前提で設計する

この競技の厄介さは、怪我をしていても下の選手は上の体重を支え、上の選手は不安定な足場に立たなければならない点にあります。

そのため、「衝撃が強いから非伸縮テープで固定する」と動きづらいと嫌がられ、「伸縮テープだけで巻く」とまだ痛いと言われる。比較的軽い損傷でも、強い衝撃に耐えるための硬い固定が必要になるという前提で設計してください。接触も多いため、すぐ剥がれない工夫や、貼る位置への配慮も欠かせません。衣装やユニフォームの構造によって、貼れる位置に制約が出ることもあります。

タンブリング後に負担が出やすい部位と対策

  • 肩(インピンジメント予防):サポートテープでの補強
  • 足首:予防的なテーピング
  • 下腿・足部:アーチサポートのテーピング、踵部の脂肪体へのケア
  • 膝外側(不安定感・違和感):サポーターとの併用
  • 手首:TFCCへの負担軽減
  • 首:僧帽筋・肩甲挙筋のサポート

現実的な運用としては、テーピングの消費量を抑えるためにサポーターと併用する形になります。特に手首は、中学生から大学生以上まで男女問わず痛めている選手が多く、競技人生の中で一度も痛めない選手はほとんどいないと感じています。予防的な介入を最初から組み込んでおく価値があります。

自費治療という選択肢

先ほど触れた「20分以上の通電が必要だが、時間と場所の制約で実施できない」という問題。ここを解く一つの答えが自費治療です。

自費治療×物療の強みは、時間・場所の縛りを受けずにフルで治療できることにあります。私は整形外科での正社員勤務の空き時間を活用し、レンタルスペースを使った週末開業のような形で、自費のコンディショニングを行っています。開業から1周年が経ち、個人的には十分に軌道に乗ったと感じています。

レンタルスペースは、カラオケボックスのように借りた分だけ賃料が発生し、移動費もかかります。店舗を持つリスクを取らずに始められる一方で、こうしたコスト構造の理解は必要です。個人事業主にするか法人化するかも、ご自身の状況と目指すビジネスの形から検討されるとよいと思います。

物療のみ、運動器リハビリのみ、そしてその両方を組み合わせた活用。この3つを行き来できることが、介入の幅そのものになります。

なぜ、同業者に向けて発信するのか

私は、過去の自分のように「救いたいのに知識が足りずに悔しい思いをするセラピスト」を減らしたいと思っています。妥協のない現場の知識を共有することが、業界全体のレベルアップと、結果的に選手たちを救うことにつながると信じています。

そして選手の側には、「どうせ説明しても伝わらないだろう」という諦めがあります。介入の精度を上げる情報は、結局のところ選手が話してくれるかどうかにかかっています。一生懸命に活動する選手が、医療面でも十二分にケアを受けられる環境を整備する。同業の皆さんと共有したい目標です。

より詳しく知りたい方へ

このテーマに関連する記事はこちらです。

患者さんや選手がセルフケアで使う低周波・温熱治療器の選び方は、姉妹サイトのヘルスケアセレクト『低周波・温熱治療器完全ガイド』、アイシングのやり方は『アイシングの正しい時間とやり方』でまとめています。

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今日からできること

次に物療機器を使うとき、「なぜこの機器を選んだのか」を一言だけ患者さんに説明してみてください。「深いところの緊張を取りたいので中周波を使います」で構いません。説明できない選択があれば、そこが2軸の整理を見直すポイントです。

そして次に軽度の外傷対応をする際は、「とりあえず冷やす」の前に、患部の状態(腫れ・熱感・痛みの程度)を1つメモしてから処置を判断してみてください。その記録が、経過を追う際の手がかりになります。

症例の壁打ちや、チーム連携のご相談

「担当している選手の評価で悩んでいる」「チームのサポート体制について相談したい」といった同業者の方からのご相談も歓迎します。Instagramや「専門家のためのチアコミュニティ」からお気軽にご連絡ください。

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